笹塚から代田橋まで、春の「玉川上水旧水路緑道」お花見散歩♪

かつて江戸市中に飲料水を供給していた玉川上水。現在では、総延長約43kmのうち、杉並区久我山の浅間橋より下流はほぼ暗渠(あんきょ)化し、遊歩道や公園になっています。
蛇行する道を歩き、玉川上水に架かっていた橋の名前や欄干を辿りながら、「ここを水が流れていたんだなぁ」と歴史を感じてみるのも面白いですよ。

そして実は、笹塚駅・代田橋駅周辺には当時の玉川上水の面影が残っている場所があるんです。
ぽかぽか陽気のお散歩日和。今日は笹塚から代田橋までてくてく歩いてみましょう♪

笹塚駅から出発!

笹塚駅南口を出たら、代田橋方面に向かう前にまずは一度南の下流側へ。
玉川上水の面影エリアその1、第三号橋から水の流れが見えてきます。水量はそれほど多くはないですが、付近の地層から湧き出ている地下水とのことで、とても澄んでいます。

玉川上水歴史環境保全地域の立て看板。
開削350年を迎えた平成15年には、国の史跡にも指定されています。

カルガモがいました!のどかでいいですね。
他にも、コサギなどの野鳥を見かけることもあります。

さらさら流れる小川は200mほどでしょうか、世田谷区との境にある笹塚橋まで続いています。

このまま緑道を進んで幡ヶ谷橋めぐりコースもおすすめではあるのですが、本日のテーマは玉川上水開渠(かいきょ)探訪。このあたりでUターンして上流へ向かうことにいたしましょう。

再びの笹塚から、上流の代田橋方面へ

笹塚駅前の遊歩道ゾーンは、大きくカーブを描いています。
ちょうど日立不動産が入っているビルのすぐ前には、南ドンドン橋の親柱。この急カーブで川岸にぶつかる水の音がドンドンと響いていたことが名前の由来らしいです。

駅の西側に出ると、玉川上水の面影エリアその2。第二号橋からの眺めです。

大きな桜の木の下をくぐって、水路沿いの道を行きます。
静かで風が気持ちいいです。

お恥ずかしながら、“笹塚あたりにたまたま開渠が残っているところがある”くらいの認識だったのですが、今回あらためて玉川上水について調べて、昭和40年に淀橋浄水場が閉鎖されてから水路の暗渠化が進む中、地元の方たちが景観や史跡を守るべく動いたのだということを知りました。

そのおかげで今こうして水辺のお散歩タイムを過ごせているんだなぁ、なんて考えているうちに、水路はまた地下に潜っていきます。

渋谷区から世田谷区へ。
広々とした緑道公園になっていて、この日もたくさんの子どもたちが遊んでいました。
ソフト舗装された園路は歩きやすく、ピクニックシートを敷いてお花見を楽しむのにもぴったりです。

冒険心をくすぐられる代田橋エリア

環七こと東京都道318号環状七号線にさしかかると、なにやら不思議な入口が。

玉川上水緑道環七横断地下道。
その名のとおり、環七の地下を横断できる通路です。

階段をおりていくと、ますますのダンジョン感!

それにしても、地下道ってどうしてこんなにわくわくするんでしょう?

さっきまで“水と緑のある暮らし”とか“自然との共生”とか“地域の歴史を伝えていく”とか、まじめなことも考えていた気がするのですが、冒険の予感に心の中の小学生がぴょんぴょん跳ねます。

「頭上注意!」と号令をかけた隊長(私)をさしおいて、夫隊員はすたすたと先に行ってしまっていました。もうちょっと妻の遊び心につきあってくれてもいいんじゃないかしら。

めげずに時々身をかがめながら進んでいくと、しだいに通路の先から光が入ってきて、まもなく出口のようです。

トンネルを抜けるとそこは雪国……、もとい、満開の桜であった。

この季節ならではの、地下道を抜けるとぱっと明るい花の色が目の前に広がる光景が大好きです。

環七の西側も緑道公園で、平成30年にリニューアルし、より歩きやすく、過ごしやすくなっています。遊具やベンチも充実しているので、遊び場、休憩、お散歩、なんでもござれの空間です。

公園のつきあたりにはレンガ造りのゆずり橋。星の時計もかわいいですね。
もとはここに第一号橋がありましたが、老朽化のため架け替えることになり、その際に地域の方々に愛称をつけてもらったのだそうです。ゆずり合う心のやさしさと、代々子どもたちにこの橋をゆずっていく、という想いがこめられています。

たもとの案内板によると、地元の子どもたちが「ここにこんな橋があったらいいな」と思い思いに絵を描き、そのすてきなアイデアが橋や周囲の設備のデザインにたくさん取り入れられているのだとか。

親水テラスから橋下を覗きこむと、向こう側に和田堀給水所からの水道本管も見えます。

さて、ゆずり橋の上流側が今日のゴール、玉川上水の面影エリアその3です!

笹塚の開渠区間は牧歌的な春の小川という感じでしたが、こちらはまるで森の秘密基地。またしても心の小学生が走り出しそうです。

代田橋駅のホームがすぐそこなので、京王線も間近に見えます。

あちこちに続く階段をのぼったりおりたりもしながら、代田橋の高架下をくぐると、渓谷を思わせる小径。

甲州街道と交差するところで、本日の玉川上水開渠探訪、終点に到着です!

笹塚から代田橋までは、寄り道や休憩もしながらゆったり歩いて30分くらい。下流部ではレアな開渠部もばっちり網羅しています。
季節ごとにいろんな風景が楽しめますので、ぜひみなさんも玉川上水の面影を探しに来てくださいね♪

玉川上水旧水路緑道
住所:(笹塚緑道)東京都渋谷区笹塚1丁目地内
(玉川上水緑道)東京都世田谷区大原一丁目43番から大原二丁目26番先
アクセス:(笹塚緑道)京王線「笹塚駅」南口からすぐ
(玉川上水緑道 最上流部)京王線「代田橋駅」徒歩1分

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。